株価低迷

投稿者: | 2006年7月24日

JALの株価は超低空飛行。こうなる経緯の中には、ある程度予想できたものもある。もちろん、社長交代劇に見るドタバタや機材トラブルに関するものが背後にあるわけでしょうけどね。
 むしろ今、株価が下がっているのは、大幅増資に伴うもの。増資をする場合、当然株数が一気に増えるので一株あたりの価値が薄まる意味もあって下がる。ANAも今年に増資をしたわけですが、当然その発表後には株価がかなり下がりました。おかげで当初1000億円超の増資を狙っていたものの、実際には900億円程度だったという。でも、今は十分に株価も回復したと言ってもいいでしょう。それに対してJAL。最大2200億円の資金調達を期待していたものの、実際には1380億円程度という。しかもJALは株主総会の二日後に増資の発表をしました。
 増資は、現株主にとって株価が下がるなど大きな影響のある行為。なのに株主総会を済ませておいて、二日後に増資を発表した。んなもんだから、裁判所に対して差止請求を出す株主まで出てきたという。この手順に制度上の問題はないのかもしれないけど、印象としては悪いものですな。あと、引受会社の一社が撤退とか、国内・海外比率の変更とかドタバタ感が否めない。
 先週にはあまり聞きなれないニュースが出ていました。
「東証と大証、JAL株の安定操作届出書受理」
はあ?というタイトル。ま、勉強不足で、こんなフレーズを実際に目にしたのは初めてでした。「安定操作」って、市場社会の中では例外中の例外。滅多にあるもんじゃないと思うわけで。で、これは要するに
「安定操作とは、証券取引法上、有価証券の相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもって、有価証券市場における一連の売買又はその委託若しくは受託をする行為であり、相場操縦行為の一類型として禁止されています。」(東証ホームページより)とのこと。そして続いて
「しかしながら、有価証券の募集・売出しを円滑に行う目的で買い支え等の売買を行って価格の安定を図る取引については、一定の要件の下で証券取引法上認められており、一般に「安定操作取引」と呼ばれています。」ってことですね。
 現在の株価が企業の経営にどのように影響を与えるか、ということは講義でも話すことがありますが、現実にここまで影響がはっきりと目に見えるとは。増資を発表した後JALの株価がドンドン下がった結果、安い株価での新株発行となり、調達できる資金がかなり少なくなった、というのは、うーん、この経緯を見ていると、さながら講義用のネタのようです。

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