重大インシデント

投稿者: | 2008年2月18日

パイロットと管制官は無線で交信しているわけで、会話がちゃんと成立しているかどうか、結構危ういこともあり得る。
 雪の激しい新千歳で重大インシデントが発生した、ということで、昨日あたりからニュースで色々見聞きしていますが、実害が無かったのでとりあえずホッと。
 それにしても、離陸許可を出していないのにどうして離陸滑走を始めるんだろう、と疑問に感じていたら、今日のお昼のニュースあたりから、管制官の指示についての指摘も出始めた。疑問点は、
「takeoff」
という言葉を管制官が離陸許可以外の伝達に発したのか?という点と、パイロット側でRead backしていたのかな?という点。
報道によると、管制からパイロットに「expect immediately takeoff」と指示した、という。そして「国交省のマニュアルにはないが、混雑時などに国際的に使われているという」と紹介されている。でも、これを慣習として使うというのは大いに疑問。
 というのも、「takeoff」という重要な用語は、離陸許可とその取り消し以外には使わない、というのが大原則では?ちょっと古いけど、AIM-Jにもそう書いてある。海外で過去に聞き違えで大きな事故があったはずで、それ以降特に注意するようになっているのでは? その上、無線というのは、マイクのスイッチのタイミングとか、他の交信とダブったりすることで冒頭が切れたりすることが当然あり得るから、特に注意すべき用語になっているはずで。だから、takeoffと言わずにdepartureと表現したり、離陸という意味合いでも他の用語を使うようにしているはず。
 しかもimmediateというのは緊急度が高い表現のはず。例えば、次の着陸機が近付いているからさっさと離陸せよ、というようなときに使うのは聞く。つまりimmediate と takeoffがセットになると、もう次の到着機が来ているから早急に離陸しなさい!という強い意味に聞こえると思う、expectなしだと。
 そして、管制からの指示を「immediate takeoff」と聞き違えたとしても、次の壁が待ち構えていたはずなんだけど、どうなったんだろう。というのも、離陸許可はリードバックが当たり前で、当然今回のJAL機からもリードバックしたはず。普通なら復唱した時点で「違うよ!」ってなるわけで、今回、復唱をしなかったんだろうか・・・。
 誰が悪い、という悪者探しに奔走するのではなく、是非同じことが起きないよう、起こさないように、事故調査委員会が解明してくれることを期待します。