成績

投稿者: | 2012年2月17日

定期試験を終えて成績判定が学生さんに伝わる。卒業のかかった学生さんに不可を付けていると何人かが「単位お願いします」と研究室を訪ねてくるなどの何らかの手段で連絡してくる。後期の科目を担当しているとだいたいこういうことは毎年のこと。
 ある大学では再試験制度というのがあった。記憶では確か、卒業のかかった時に残り数単位の状態で不可が付いて卒業できない状態になると再試験を申し込むことができる。しかしこの制度は廃止されている。尋ねてくるのは特にこの再試験制度がなくなってからだろう。
 正直なところ、卒業のかかった学生さんに不可など出したくない。しかしそんなことを言っていると、結局ズルズルの採点になってしまい、1回生なら不可で4回生なら可なんていう不公平な採点を大量にすることになる。不可を出したくないからこそ、持ち込み可の試験にしているし、出題を複数問題からの選択制にして、不得意問題を解かなくても済むようにこちらも作戦を練っている。要するに、色んな配慮をしているつもりなので、試験が終わってから個人的にお願いされてもそれは受けないことにしている。再試験制度は廃止された。廃止された以上はそれは実施できない。廃止した意思決定プロセスにも参加していない以上、そのルールに従うことにしている。
 何とかお願いします、と言って成績判定を変更してもらうケースもあるように感じるが、この後期の成績判定をそういう具合に変更できるというのなら、前期であっても変更可能なはずである。定期試験の答案は保存期間が設定されているわけで、その保存すべき理由はおそらく、成績判定に間違いがあったことが判明した場合には現物を確認して成績を修正可能にするためのものだと思っている。つまりは、4回生後期の科目の担当教員の採点に泣かされたとばかり考えるのは、発想としてデジタル的すぎだと思っている。成績判定を変えて欲しいと申し出るのなら、前期の科目に対して、あるいは昨年度の科目に対しても同じように願い出てみればいい。「今期の成績しか修正できないから、前期の私の採点は変えない。後期の担当教員に依頼せよ」という教員がいるとすれば、それは単に身勝手なだけだと思う。『今期の成績は融通次第で変えることができるんだ』と主張する方ならば『答案保存期間中の科目の成績も融通次第で変えうるはずである』。
 ちなみに、この大学には成績確認制度というのもあって、自分の成績がどうしてそのようになったのかを教員に問い合わせる制度。これは実にいい制度だと思っている。緊張感をもって採点しないと色んな問い合わせを受けた時に困ることになるし、公平さを保っていないと後でバレルことになる。この確認の要請が来たら丁寧に説明するように心がけている。不可を付けた4回生にも納得してもらえるように、である。今年も結構な問い合わせがあったが、採点ミスはなく、どこを間違えてそういう成績評価になったのかを文書化して説明した。一応納得してもらえたものと思っている。もちろん、成績確認制度がなくても採点は慎重にしてますが。