このところ虚構新聞のような「ネタをネタと見抜かなければならない」情報が色々とあるので、一応様子見をしていたが、どうやら本当のことのようなのでコメント。
最近、スカイマークの座席前ポケットには「スカイマーク サービス・コンセプト」というものが入っているらしい。そこに書かれていることはいくつかの場所で紹介されている。生で見たわけではないのでそのあたりの真偽を疑ってきたわけだが、原文はネットで検索すれば出てくる。その文書を私なりに解釈すれば、要するに次のような8項目。
- 客室乗務員は客の荷物の収納を援助しないので各自で。
- 客室乗務員の言葉遣いは指導していない。安全管理のためなら厳しい口調もありえる。
- 客室乗務員の化粧、ヘアスタイル、ネイル等は本人任せです。
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客室乗務員の服装はポロシャツかウインドブレーカーのみ制服なので、それ以外の服装のことは知りません。
まあ、このあたりまではアリかな、と思う。この会社はそういうルールにしているみたいだから理解してね、という主旨かと思う。しかしここからが微妙になってくる。
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客室乗務員は保安要員であって接客はしないのが基本。そしてあんたと直接関係がないような苦情は受けない。だから客室乗務員の私語について文句を言うな。
客室乗務員は接客しないのが当然で、保安上の理由がない限り乗務員は客と直接関係しないと宣言しているから、この文脈だと君たち乗客は客室乗務員の私語に文句を付ける資格すら持っていないよということになる。うるさくて気に障るような私語でも苦情は受けないという。「私語」なのに。私語って仕事と関係ない話のことだよね?
それと、3番や4番との関わりでいえば、それらに問題があっても会社の問題ではなく本人の問題なのだから会社に言ってくるな、ということなんだろう。そしてこれは後の8番にも関わっていて、要するにその場では文句を言うなということである。
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幼児が泣いてもうちのせいじゃないし知らない。
まあ、これに関しては確かにそうだ。アメも出さないしジュースも出さない。ただ、それを文字で書いてしまうか・・・。
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地上係員と客室乗務員が違うことをいった場合は客室乗務員の指示に従え。
許容限度というのはあるかもしれないけど、まあそれも確かにそうだ。その場、その場での指示に従わないといけない。
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機内では一切苦情を受け付けないし、むしろ邪魔な奴は追い出す。文句があったらお客様相談センターか消費生活センターへ。
何かこれまでの苦情対応で行き詰まってしまったのですかね。「その場で文句言われても困る」という場面は確かにあるだろう。苦情対応しているうちに出発が遅れたりするのは客も会社も困るだろう。便間を詰めているから少しの遅れも延々と引きずることになる。しかし、その場で苦情にどう対処するかについては会社のノウハウってものがあるんじゃないのかなあ。その場で言わなかったら「そんな事実はなかった」なんてことにもなりそうだし。
サービスに関してこういうドライさはあってもいいと思う。保安上の理由から、特に機内では客室乗務員の指示に従わなければならない、それはどんな航空会社でも当然だと思う。そして、この宣言はある部分では確かにこの会社のサービス"コンセプト"を語っている。が、自分勝手な言いっ放しが混じっているようで、オイオイ、大丈夫か?と思ってしまう。うまく行かないのは客のせいだ、と言っているようにも見える。機内が暑い、寒い、そんなことを調整するリクエストさえ憚られる空気なのか。これを見ていると、そもそもスカイマークは普段どんな客を乗せているんだろう。そっちが気になる。注意書きというのは普段どういう利用者を相手にしているのかと関わるわけで、苦情が湧いてこんなカードを示さないといけないような客層だというのならそもそも利用したくない。(そんなことを言うお前に利用してもらわなくて結構!と言われそうだが)
そういえば社長が色々言う飲食店の話があったなあ。肉が固かったと苦情を入れた客に「顎を鍛えろ」と。まあそういう店があっても別にいい。嫌なら来るな、あるいは一定水準以上のものが欲しければそれなりの対価を支払って他店に行け、ということだろう。
ただし、そういう存在も時として迷惑となる。最低限の基本、例えば安全とかそういう点に関しては、利用者以外にも迷惑がかかるので、そのあたりはクリアしておいてもらわないと困る。そもそも私は乗り物も含めた色んなサービス、製品に関して現場で文句を付けたりすることはまずない。文句を付けるくらいなら次回からそのサービスを可能な限り利用しないだけ。文句を付けると虚しくなる。裏返しに言えばそんな会社には改善を期待していないだけ。