いくら何でも通用しない論理展開

投稿者: | 2013年2月14日

パソコンの遠隔操作事件で真犯人と思しき容疑者が逮捕されたわけですが、これに関する報道には「はあ?」と思うものが多い。NHK NEWSのサイトを中心に見ているので、そこでの状況ということになるけど、ちょっと書き留めておこう。

パソコンの遠隔操作事件で逮捕された男が猫に付けた疑いのある記憶媒体から、「セキュリティが弱いところを探すのが大変なので遠隔操作ウイルスを作った」と書かれたファイルが見つかりました。 ファイルの内容通り最初の犯行予告以降は遠隔操作が行われていて、警視庁などは関与を裏付けるものとみて調べています。
男は容疑を否認しているということです。 東京のIT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)は、インターネット上に殺人予告を書き込んだとして逮捕されました。
調べに対して「全く身に覚えがない」と容疑を否認しているということです。
真犯人が犯行声明メールで関与を認めた13の事件のうち、去年6月、横浜市のホームページに書き込まれた小学校への襲撃予告は遠隔操作とは別の手口が使われていました。
その後の調べで、片山容疑者が猫に付けた疑いが持たれている記憶媒体から、「横浜市のホームページはセキュリティが弱いので狙った。
セキュリティが弱いところを探すのが大変なので、その後はどんなところにも通用する遠隔操作ウイルスを作った」などと書かれたファイルが見つかっていたことが分かりました。
最初の横浜市の事件以降は実際に遠隔操作ウイルスが使われていて、警視庁などは片山容疑者の関与を裏付けるものとみて調べています。(2013.02.14 NHK NEWS

この記事を含め、あちこちで「片山容疑者が猫に付けた疑いが持たれている記憶媒体から」という表現があるものの、実際には「記憶媒体から○○が見つかりました」というだけの話。

『記憶媒体から○○が見つかった』→『記憶媒体内のデータを作成した人物が真犯人であろう』

まではわかる。しかし、この記憶媒体内のデータと容疑者とが結びつかない限り話が始まらない。

『記憶媒体から○○が見つかった』→『記憶媒体内のデータを作成した人物が真犯人であろう』→『この容疑者が関与した』

というところまでは未だに論理的に結びついていない。この記事を小論文として採点すると点数にならないだろう。もちろん、警察はその結びつきを捜査しているはずで、確証を得ているのかもしれない。しかし、報道される情報を読む限り「やっぱりそうだったか」と納得できる材料はまだない。

 メディアの中の人々は論理的につながっていないことに気付いていると思うんだけど、『容疑を否認しているということです。』が免罪符なんだろうか。私自身、あの容疑者は無実だ、と主張するつもりはない。それはわからない。ただ、この事件に関しては当初誤認逮捕があったということから考えれば、今回も事実関係をキッチリと切り分けて書くべきだと思う。

いくら何でも通用しない論理展開」への1件のフィードバック

  1. 元クラスメイト

    大いに同感。
    警察の広報のようなマスコミは不要。

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