とある電車の始発駅。発車時間が近付いていたのでスルスルっと乗ったのが1両目。見ると乗務員室に3名が。そのうち一人は「指導」と書かれた腕章をしている。
「運転士さん、どの程度のプレッシャーを受けるんだろう。」
というのがすぐに気になった。あの狭い場所に一緒にいて、しかも腕章を付けた人は採点表のような、記録用紙を持っているから。
で、ところどころで指導運転士が計器類を覗き込んだりしている。速度とかを見てるのかな? で、途中駅で止まるたびに、どうも早め早めの減速になっている様子。「電車でGo!」をやってみただけでも想像できるが、停止位置に神経質になると、どうしても早めに減速してピタリと合わせようとする。素人目ながら、まさにこんな状況になっているように感じた。
そして、終点の一つ手前の駅への進入。ダイヤからのずれが気になっているのか、減速が甘い。今まで普通に立っていた運転士以外の2人が近くの取っ手などを持った。たぶん、”減速が足りない!”と感じてるわけね。そこできつめのブレーキに変わったものの、案の定、1mほど過走。やっちまった・・・。
その運転士さんは決して若い未熟な雰囲気ではなく、年齢を重ねた熟練のイメージなんですが・・・。何か減点とかあるのかなあ。もし指導運転士が乗っていなかったらあの人は普通に止めていたんだろうか・・・。(ただ、1mの過走でもバックしないといけない、というのは厳しい世界だよなあ)
妙なプレッシャーがどれだけ人を壊していくかは、尼崎のJR脱線事故が露骨に示したわけで。今日乗ったこの会社の場合、過走がどういう扱いを受けるのか知りませんが、うーん、プロなら誰が横に乗っていようとも平然とこなさないとけないんだろうなあ。飛行機ではシミュレーター訓練も監査フライトも結構あるようだし。
ま、終着駅、車止めがあるわけで、さっきのミスがどれだけ影響するかな?尼崎の脱線事故はこういう状況が背景にあって起きたと思うんだが、と不安に思ったものの、停止位置ぴったりで停車。そこら辺はプロの仕事ですな。
バスとかタクシーとか、客から苦情が来ない限りどんな仕事をしているのか、なかなか掴みづらい。そこらへんのサービスの質や安全性を保つために、組織として何をしているんだろう、というのが昔から気になっていたり。そういう意味では、大学教員の講義は元々他の誰にも知られることなく行われてきた。教室内の出来事は閉じた空間の中に封じ込まれていて、他に知られることがなかったわけで。その点を改善するために授業評価アンケートが行われるようになり、場合によっては他の教員が参観するってことまであるんだけど・・・。私も他の教員に授業を見られた?!ことがありますが、とりあえず特別なプレッシャーはなかった。でも、それは他大学の先生だったからかもしれませんね、業績評価に関係しないから。