大丈夫は嘘じゃないし

投稿者: | 2011年10月16日

もう少々古くなりましたが、先日小沢さんが裁判に出てきた時に、石川知裕議員が隠し録りした時の音声の一部が再生されたことをニュースで知りました。が、そのやり取りが何とも言えない、奥ゆかしい味わい深い会話でした。
録音機について
検事:『石川さんさ、録音機持ってない?』
石川議員:『大丈夫です。』
検事:『大丈夫? この前もさ、そういうこと言っててとったやつがいてさ。』
 この会話。石川議員が嘘をついていると言う人もいるようですが、そうですかね?『大丈夫です』と言えば何となく『持っていない』を意味するように見えるものの、決して持っていないとは言っていない。この場で録音する行為が合法なのか違法なのか私はよく知りませんが、嘘を言ったと思うか?と聞かれれば嘘は言っていないと思います。
 頭のいい人にはこういう会話が得意な人がいて、決して嘘はつかずに誤魔化すのが実にお上手。上の場面では検事よりも石川議員の方がはるかに上である。賢い検事なら「持ってない?と聞いているんだから、持っているのかいないのかで答えてもらわなきゃさ」と返すべきところなのである。「頭のいい」の意味が微妙ですが、ある意味この場面では石川議員の方がはるかに頭がいい。敢えて『録音機を持っていて何が悪い。』などと闘わず、『持っていません。』と露骨な嘘もつかずなのだから。
 所詮「消防署の方から来ました」という詐欺師と大差ないと言えばそうなんですが、ニュースでこのやり取りを聞いて、検事の突っ込みの甘さに笑ってしまった。そして、これぐらいの神経の持ち主じゃないと日本の国会議員になれないのかな、と・・・。トホホ。


 ま、世の中色んな場面で意思疎通がズレることもあるわけで、善意が危険な方向に導いている場合もある。
 歩行者が横断歩道を渡る気配を見せた場合、道路を走る車両は一時停止しなきゃいけない。まあ、実際には通過する車両が多いわけですが、パトカーなんかは赤灯を回転させながら止まってくれたりする。これは周囲に「止まりますよ!」ということをアピールするためにやっているんだろうが、これがホントにいいことなのか?という疑問もある。幼稚園児くらいの子供ならどうだろう。
「横断歩道で待っていたら赤灯を回転させているパトカーがやってきた」=止まってくれる
なんて認識を子供が持ってしまったら危険極まりない。その場面に応じたパトカー運転者の意思が子供に確実に伝わるのかどうか・・・。そう考えると、温かい気持ちでやっていることがむしろ危険を誘うかもしれないわけで。
 ちなみにダンプ・トラックの運転手さんが横断したい歩行者を見つけて比較的急に止まる場合、ハザードを付けてパッシングするケースに遭遇する。大型車両の場合、後ろのクルマから前の状況がわからないために、追突されないためにもハザードで知らせているんでしょう。パトカーも赤灯という特殊な場面で使うべき道具ではなく、通常走行の範囲で使用できる合図で知らせるべきなんじゃないかな、と思うわけです。
 そして、自転車と横断歩道との関係。今日も横断歩道のところで渡ろうとしている自転車にまたがった男性がいて、見事に赤灯を回転させながらパトカーが止まりました。こういう場面を見て間違った学習をする人がいて困るわけで。職場近くの横断歩道を自転車で、一時停止もせずに突っ切ろうとする人をよく見かける。しかも止まらないクルマに罵声を浴びせたり。いやいや、車両として自転車に乗っている以上、優先道路じゃない側の人は一時停止せにゃあかん。横断歩道手前でクルマを止めたければ、自転車からまず降りるのが基本だと思うんだが・・・。
 ちなみに、私が自転車にまたがったまま見通しのいい横断歩道の前で待っていたら、警察車両が素通りしたこともあります。事故係のバンでしたが、その挙動はルールとしては問題ないはず。他人への心遣いでやっていることが、むしろ危険を呼び起こすという場面があるんじゃないかな、と思うわけです。