話し言葉と書き言葉

投稿者: | 2014年9月13日

職業柄、教室で喋って物事を伝える場面がよくあるが、いつも気になるのが話し言葉で伝えることの難しさ。

例えばテレビのクイズ番組を見ていると、スタジオ内の解答者はアナウンサーの声を耳で問題を聞き、答えている。しかし視聴者は問題を字幕の文字を見つつ、アナウンスも聞いて考えている。このような場合、視聴者の方がスタジオにいる解答者よりも正解を導きやすいと思う。そんなことを考えている時に次のようなツイートが目に入った。

これは実に面白い。記事を読むと、

問題は「11(イレブン)」から始まる。英語にはこの数字に固有の名称があるが、中国語(日本語、韓国語などでも)ではその数字を「10-1」と訳せる言葉で表現し、口に出すときは「10」が先にくる。これにより桁の値を理解するのがより簡単になり、記数法が10という単位に基づいているというこがより明確になる。

とある。このあたりは以前から気になっていた。数字の11を英語で『聞く』と [11] が [10+1] ではなくなる。算用数字で書けば英語圏でも共通なんだろうけれども、話し言葉になると11, 12あたりが特に微妙。まあteenが付くあたりはまだわからないではないが、一桁目が先に来て二桁目が後に来るという謎。この記事にもあるように、算数の勉強に関してはこのあたりは少し障壁になる可能性を感じた。

そのことと関係あるのかないのかわからないが、欧米でのお釣りの計算方法についても面白い話を聞いたことがある。皆が皆そうだとは思わないが「お釣りを足し算で考える」というのである。700円の商品を買う時に1,000円札を渡したとしよう。日本でのお釣りは、 [1,000円-700円=300円] と考えるだろう。しかしそこを足し算で考えるとどうなるか。

店員:1,000円札を受け取った=客に渡すべきは [700円の商品+100円玉が1枚、2枚、3枚]

つまり店員と客とが等価交換をして、1,000円に数字を合わせていく形でお釣りを出すというのである。
まあこの話は欧米で少し暮らしたことがある人から聞いたものなので、ホントに多くの人がそう考えているかどうかはわからない。単に計算に弱いだけかもしれない。ただ、考え方の違いというのはそういうあたりにも存在するのかな、と思う次第。

ちなみに、数字に三桁区切りでコンマを付けるのは本来日本語には馴染まない。これはthousand, million, billionのような英語の数え方にふさわしくできている。日本語流なら四桁ごとにコンマを付けた方が読みやすいのに、というのは板書をしながらいつも思うこと。