多数決は民主的な決定方法、ということになっているが、妙なことになりかねない、というのは法律系の方から学んだ。そのことを正しく理解できているか定かではないが、例えばこんな状況を考えてみよう。
お昼の弁当に何円出すか、金額の目安を提案してもらって1,000円、1,200円、1,400円の3案が出たとしよう。これら3つのうちからどれかを多数決で選ぼうと思う。メニューの内容はとりあえず置いておいて、金額を多数決で決める。投票参加者は12人。で、投票結果がこんな形になったとしよう。
1,000円案 ■■■ 3人
1,200円案 ■■■■ 4人
1,400円案 ■■■■■ 5人
5票の1,400円案が最多なので、多数決で1,400円案が採用ということになる。
こういう状況はおかしい、という意見が法律や政治といった分野の方から出たことがあった。単純な多数決の結果がおかしいというのである。1,400円案に賛成したのは5名、賛成していない人が7人ということで、投票者12人の過半数が賛成していない案を合意案として採択することになる。
この状況を別な形で、数え方を変えて考えてみよう。弁当に1,000円出すこと自体には全員賛成しているはずである。1,200円になると3人が賛成できなくなる。その調子で見ると、
1,000円出すことをヨシとする人 ■■■■■■■■■■■■ 12人
1,200円出すことをヨシとする人 ■■■■■■■■■ 9人
1,400円出すことをヨシとする人 ■■■■■ 5人
となる。1,200円出すところまでは過半数の賛同者がいるが、1,400円となると賛同する人は半数を超えなくなった。こう考えると、多数決の結果としては1,200円案を採用すべきではないか、ということになる。
こういう考え方について、全く理解できないという意見もある。ただ、リーダーを選ぶ選挙などで「1回目の投票で過半数の得票者がいなかった場合は決選投票」という仕組みを用意しているケースがあるのは、こういう問題を考慮してのことだろう。
多数決の結果だから受け入れろ、と単純に言い切れない場合があることには注意が必要なのである。